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平成14(受)1100 損害賠償,商標権侵害差止等請求事件
平成15年02月27日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
判決文全文 → http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120726818352.pdf
結論
- 真正商品の並行輸入
- 商標権者以外の者が、我が国における商標権の指定商品と同一の商品につき、その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は、許諾を受けない限り、商標権を侵害する(2条3項、25条)。
- しかし、そのような商品の輸入であっても、
- ① 当該商標が、外国の商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、
- ② 当該外国の商標権者と我が国の商標権者とが、同一人又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、
- 当該商標が、我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであって
- ③ 我が国の商標権者が、直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから、
- 当該商品と、我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが、当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合には、いわゆる真正商品の並行輸入として、商標権侵害の実質的違法性を欠くものと解する。
理由
- ①商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(1条)、
- ②上記各要件を満たすいわゆる真正商品の並行輸入は,商標の機能である出所表示機能及び品質保証機能を害することがなく,商標の使用をする者の業務上の信用及び需要者の利益を損なわず,実質的に違法性がないからである。
解説
上記①~③の要件を満たす場合は、原則として、非侵害となります。
これに対し、特許のBBS事件では、原則が侵害となっています。まず原則の違いについて理解しましょう。
商標法は、形式的に2条3項各号に該当する場合でも、真正商品の並行輸入の上記要件を満たすときは、商標の機能を害していないとして、非侵害となります。このように機能が発揮されているかどうかで商標としての使用かどうかを判断し、侵害の有無を決めることを「商標機能論」といいます。
本判決も、出所表示機能および品質保証機能が害されているとして商標権侵害とされました。