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レールデュタン事件

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昭和44(あ)2117 平成10(行ヒ)85 審決取消請求事件
平成12年07月11日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
判決文全文 → http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120629363392.pdf

【要旨1】

結論

  • 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品等に使用したときに、当該商品等が他人の商品等に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、
  • 当該商品等が他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解する。

理由

  • 同号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、
  • その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。

【要旨2】

結論

  • 「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、
  • 当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、
  • 当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。

解説

上記内容は暗記すべき。

判決文

         主    文
原判決を破棄する。
特許庁が平成四年審判第一二五九九号事件について平成九年二月二四日
にした審決を取り消す。
訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
理    由
上告代理人森内憲隆、同近藤純一、同古賀貴泰、同照嶋美智子の上告受理申立て
理由について
一 原審の適法に確定した事実関係は、次のとおりである。
1 被上告人は、昭和六一年五月二一日、「レールデュタン」の片仮名文字を横
書きした商標につき、指定商品を商標法施行令(平成三年政令第二九九号による改
正前のもの)別表第二一類「装身具、その他本類に属する商品」として、商標登録
出願をし、右商標は、昭和六三年一二月一九日、登録された(登録第二〇九九六九
三号。以下「本件登録商標」という。)。
2 上告人は、指定商品を同別表第四類「香料類、その他本類に属する商品」と
する「L’AIR DU
TEMPS」の欧文字を横書きした商標(登録第六六一四二四号。以下「引用商標」と
いう。)についての商標権者である。上告人は、香水に「L’Air du
Temps」及び「レール・デュ・タン」の商標(以下、併せて「本件各使用商標」と
いう。)並びに引用商標を使用しているところ、本件各使用商標及び引用商標は、
本件登録商標の登録出願当時、我が国において香水を取り扱う業者や高級な香水に
関心を持つ需要者には、上告人の香水の一つを表示するものとして著名であった。
3 上告人は、平成四年七月三日、商標法四条一項一五号に違反することを理由
として、本件登録商標の指定商品中「化粧用具、身飾品、頭飾品、かばん類、袋物」
– 1 -につき本件商標登録を無効にすることについて、審判請求をした(平成四年審判第
一二五九九号)。
4 特許庁は、平成九年二月二四日、上告人の審判請求は成り立たないとの審決
(以下「本件審決」という。)をした。
二 本件は、上告人が本件審決の取消しを請求するものであるところ、原審は、
右事実関係の下において、次のとおり判断して、上告人の請求を棄却した。
本件登録商標の登録出願当時、本件各使用商標及び引用商標は、我が国において
香水を取り扱う業者や高級な香水に関心を持つ需要者には、上告人の香水の一つを
表示するもの(いわゆるペットマーク)として著名であったものの、一般的に周知
著名であったとまでは認め難く、また、本件登録商標と引用商標は称呼を同じくす
るものとはいえないから、商品の出所について混同が生ずるおそれがあるとはいえ
ない。
三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次の
とおりである。
1 【要旨1】商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と
混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以
下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務
(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみ
ならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業
上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業
主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそ
れ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。けだし、同号の規
定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示
の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護する
– 2 -ことによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保
護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角
化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブラ
ンドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用す
る者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも
商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。
そして、【要旨2】「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示と
の類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商
品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度
並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商
標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、
総合的に判断されるべきである。
2 本件登録商標は、本件各使用商標のうち「レール・デュ・タン」の商標とは
少なくとも称呼において同一であって、外観においても類似しており、しかも、引
用商標の表記自体及びその指定商品からみて、引用商標からフランス語読みにより
「レールデュタン」の称呼が生ずるものといえるから、本件登録商標は、引用商標
とも称呼において同一である。また、本件各使用商標及び引用商標は、香水を取り
扱う業者や高級な香水に関心を持つ需要者には、上告人の香水の一つを表示するも
のとして著名であり、かつ、独創的な商標である。さらに、本件登録商標の指定商
品のうち無効審判請求に係る「化粧用具、身飾品、頭飾品、かばん類、袋物」と香
水とは、主として女性の装飾という用途において極めて密接な関連性を有しており、
両商品の需要者の相当部分が共通する。【要旨3】以上の事情に照らせば、本件登
録商標を「化粧用具、身飾品、頭飾品、かばん類、袋物」に使用するときは、その
取引者及び需要者において、右商品が上告人と前記のような緊密な関係にある営業
主の業務に係る商品と広義の混同を生ずるおそれがあるということができる。なお、
本件各使用商標及び引用商標がいわゆるペットマークとして使用されていることは、
本件各使用商標等の著名性及び本件各使用商標等と本件登録商標に係る各商品間の
密接な関連性に照らせば、前記判断を左右するに足りない。
四 以上のとおり、これと異なる見解の下に上告人の本件審決取消請求を棄却し
た原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は
その趣旨をいうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上に
説示したところによれば、上告人の本件審決取消請求はこれを認容すべきものであ
る。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥田昌道 裁判官 千種秀夫 裁判官 元原利文 裁判官 金谷
利廣)

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